奨学金の返済のため消費者金融に手を出す社会人が増えている

就職試験を受ける際、最終学歴が大学卒というのが当たり前のようになってきている。しかし、一人の人間を中学高校を経て大学まで進学させるにはかなりの費用がかかる。すべての家庭が経済的に余裕があるわけではないし、大学の費用がまかなえたとしても通うのが遠く離れた土地ならば生活するための仕送りなども発生してしまう。

それでも、大学に通うのが「ステータス」と化してしまっている現状では、たとえ親の経済状況が悪かったとしても子供は何とかして大学に通いたいと思う。そんな時に援助してくれるのが、奨学金制度だ。子供は、奨学金を借りて大学生活を過ごし、卒業と同時に返済をスタートさせる。大学の規模にもよるが、だいたい200~500万の奨学金を利用して卒業後に月々数万円を10年以上かけて返済していく。

しかしながら、そうやって大学生活を経て見事社会人になったものの、奨学金の返済を滞らせてしまう人が多いという。月々の給料から返済しようと思えばできる金額であるにもかかわらず、返済しない。これは、彼らの中で、奨学金というお金が「借金」であるという自覚がないからではないかと思われる。しかも、返済を滞らせても取り立て屋が来るわけでもないし、催促の電話が頻繁にかかってくるわけでもない。彼らはある程度の期間、返済を放置する。

ただ、そんな彼らにもいよいよ返済しなければという焦りが出てくる時期がある。奨学金を滞納した場合、本人に返済意志がないとみられた場合に保証人となる人物に連絡がいく。学生時代の保証人であるから、大抵は両親である場合が多い。そもそも、両親が学費をだす余裕がない事から発生している奨学金であるから、親のところに連絡が行ったとしても親は肩代わりをしてくれるはずがない。それどころか「あんたちゃんと返しなさいよ」と他人事のように言われたり「社会人にもなって恥ずかしい」と説教されたりする。

学生時代、奨学金を使って自力で大学に通ったという自慢を周囲に散々してきた。それは、自分が人間的にも精神的にも自立しているという証だ。なのに返済を滞納し、今となっては生活レベルを崩してまで昔の借金を返したくない…。そういう結論に達し、奨学金返済分を消費者金融に借りてしまう若者が多いという。

奨学金も、消費者金融から借りた金も、自分が汗水たらして稼いだものではないから安易に考えてしまうのだと思われる。安易なお金は安易に返し、自分の給料は全て、自分の好きなものに使いたいのだ。そうやって自転車操業のような返済を繰り返し、いざ自分が結婚を考える時期になってもなかなかその事実を相手に伝えられず、踏み切れない人が多くいるという。

実は、現代の若者の晩婚化の理由の一つが「奨学金をいまだに返せていないから」だったとしたら面白い。

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